LSDがシリコンバレーに及ぼした影響


日本では世界最大の奇抜なお祭りだとか、砂漠でのサバイバルイベントとして紹介されることが多いバーニングマン。もちろんシラフでも十分に楽しめる異空間には違いないが、バーニングマンはやはりサイケデリックスの影響下で本領を発揮するイベントである。

テスラモーターズのCEOイーロン・マスク、グーグル会長エリック・シュミットも参加したことがあるらしい。バカ騒ぎを楽しむために行くのもよいが、一方で、斬新な発想を生み出し、知的な問題を解決するために参加する人もいる。砂漠から持ち帰ったアイデアを画期的な商品やサービスとして形にして世に出せば、若くして億万長者になることが可能な環境がシリコンバレーには整っている。

シリコンバレーの投資家でもある『「週4時間」だけ働く』の著者ティム・フェリスがCNNの記者に語ったところによると、「知りあいの億万長者はほぼ全員例外なく、頻繁にサイケデリックスを使っている」のだそうだ。

Ciscoに勤めるエンジニア、ケビン・ハーバートはサイエンス・フィクション集会ではじめてLSDを体験した。なんと理系の一流大学M.I.Tの研究所で作られたものだったそうだ。シリコンバレーで成功するためには徹夜でコーディングするタフさや集中力が必要かもしれない。でももっと重要なものはクリエイティビティ。それを向上させる可能性のあるものは常に求められており、物事に違った視点からアプローチできるサイケデリックスを活用している人も多い。現在51歳のハーバートは年に3〜4回ほどLSDを摂取する。思考の限界を「ハック」するために。

サイケデリックスがクリエイティビティを向上させるという科学的な証拠があるわけではないが、私の経験から言うと、サイケデリックスの影響下でひらめいたアイデアは真実である場合が多い。バカげだことであっても自分を信じて、行動を起こすことができれば。

最近、WIREDで紹介された脳の研究(幻覚剤が脳のネットワークに何を起こすのか:fMRIスキャンで視覚化すると)。シロシビンを投与した被験者の脳内で、通常の意識時にはつながりのない部位が連結しあい、新たな情報コミュニケーションのパターンが出現していることを図解している。

ちなみにWIREDの創刊編集長ケビン・ケリーもヒッピー出身で、スチュアート・ブランドと友人関係。若い頃にはバックパックを背負ってアジアを長期旅行したそうだ。

シリコンバレーとサイケデリックスのつながりには歴史がある。バーニングマンとヒッピーカルチャー、そして最初のパーソナルコンピュータが同じ地域から生まれたことは単なる偶然ではない。ITというと、技術やビジネス面に焦点が当てられがちだが、ニューヨークタイムズの記者ケビン・マルコフによる『パソコン創世「第3の神話」―カウンターカルチャーが育んだ夢』は、パーソナルコンピュータ登場の背景にあるサイケデリック文化と意識革命の接点を解き明かした良書である。ビジョンをもったオタクたちが、コンピュータを精神の解放とインフォメーションを自由にする道具へと変えたのだ。

「生き方は自分で発明してもいい。誰かに許可をもらう必要はない」というスチュアート・ブランドのホールアース・カタログが投げかけたメッセージを実践した結果が、少なからず今の世の中であることを思うとなんとも感慨深い。

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