ネットフリックスの『Sense8(センス8)』がサイケデリック


『マトリックス』のアンディ&ラナ・ウォシャウスキー監督が『バビロン5』のプロデューサー、J・マイケル・ストラジンスキーと組んで制作したSFアクションドラマ『Sense8』がとってもおもしろかったので紹介。日本でもサービスを開始したネットフリックスでストリーミング視聴できる。

ストーリーはセンセイト(sensate)と呼ばれる8人の他人同士が、ピアツーピア的に相互につながりあい、感覚を共有し、スキルの貸し借りをして助けあいながら、彼らを捉えようとるす謎の組織から逃げるというもの。8人はそれぞれサンフランシスコ、シカゴ、メキシコシティ、ソウル、ムンバイ、ロンドン、ベルリン、ナイロビに住んでいる。

各地で撮影された映像が美しい。旅や異文化好きならそれだけでも楽しい。シカゴの独立記念日の花火、サンフランシスコのプライドパレード、ロンドンのクラブKOKO、インドのガネーシャ祭り、メキシコのルチャリブレ(プロレス)などが見れる。さらにセクシャリティやジェンダー、ナイロビの貧困、ソウルの男女差別、ムンバイでは親が決めた人との結婚やヒンズー過激派の暴動といった問題ごとが、さりげなく描かれており、SF映画としては珍しい。心に傷を負っているロンドンのDJライリーはドラッグ好きで、DMTを(すすめられて)吸ったり、ベイプペンで樹脂を吸ったりするシーンもある。サンフランシスコではハッキングのスキルを持ったトランスジェンダー女性ノミが、彼女と一緒にブラウニーを食べたり。

登場人物が多くて、最初はちょっとわけがわからなくなるかもしれない。場面はある国でのシーンから別の国でのシーンへと流れるように移り変わり、境目があいまい。それもきっと意図的なのだろう。なぜなら意識はひとつだから。

人はみな、ひとつの意識の一部で、相互につながりあっている、というサイケデリックな、あるいはインド哲学的な要素が垣間見えてくる。ふだんはそれぞれの置かれた環境で与えられた課題をこなして生きているセンセイトたちが、つながりあい、助けあう様子を見ていると、変性意識のなかで世界のサイケデリック戦士たちがつながりあっている図を思い浮かべる。Sense8はもちろんフィクションだけれど、まったく突拍子もない空想の話というわけでもないと思う。たとえば、時代的にも地理的にも遠く離れた古代の文明が、同じような建築物や道具を作ったのはなぜか。かなり似通った装飾がついた工芸品もみつかっている。集合無意識の世界で知識やスキルの交流があったのではないだろうか?

『マトリックス』もそうだったが、『Sense8』は幅広い層が楽しめる作品だ。空間を超えたアクション、アドレナリン放出シーンも満載で、サイケデリック格言集に採用したいような含蓄のある台詞もちりばめられている。高校生の頃に見たときはアクションシーンが面白かっただけでも、10年後に成長した視点で見ると、人生のアドバイスや哲学的なテーマが含まれていることに気がつくような、見るたびに新しい発見があり、世代や教育のレベルや文化の違いの垣根を超越しているもの、そういう作品は本当に素晴らしい作品だと思う。シーズン2の制作も決定しており、続きが楽しみだ。

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