全米レインボーギャザリングが抱える課題 (3) ~自由で平和な世界のつくり方

太陽がおしえてくれた、本当の自由
7月4日。今日は、日の出から正午まで、静かに世界平和を祈るため、楽器の演奏もおしゃべりも禁止。広場にはサイレントサークルと呼ばれる輪ができており、その中心には、インドの神様や故人の写真、セージにお線香、なにか意味のある石など、さまざまな宗教とニューエイジアイテムが、ごちゃ混ぜに供えられている。瞑想する人、裸で寝そべっている人、ヨガのポーズをきめている人、泣いている人、全裸泥まみれで合掌している人。立派な杖を持ったおじいさんは、もう片方の手の人差し指を天に向けてまっすぐつきあげている。そして下半身だけ裸。
突然、後方から男の怒鳴り声が。喧嘩だ。しかしまあ、レインボーらしく、友好的なアプローチで丸く収めることができたようだけれど・・・。後味の悪さが残った。
不運が続いていた。フォレストサービスにいじめられ、酒臭い人に出迎えられ、食事は十分にもらえない上、パンクキッズにたかられ、そして、喧嘩。がっかりしはじめていた。ピースフルな空間を想像していたから。ふたたび雨も降りはじめる。雷が激しく鳴り、稲妻が光る。
正午、オーム(om)の合唱とともに沈黙が破られる。するとまもなく、これから始まる宴の気配を察知したかのように、雨がパタリと止んだのだ。そして、空にはなんと、ダブルレインボーが出現!!
「うおおーー!!!!」
1万人が大空に向かって吠える。遠くの山々までその歓声が響く。これでもかと激しく鳴る太鼓!最高の笑顔!高貴な涙!見知らぬ人との抱擁!ひざまづき、両手を虹にかざす!
太陽はすべての人の頭上に平等に昇り、無償の愛を注ぐ。昨日も今日も明日も。人々が愛し助け合うのも、争い奪い合うのも、すべて見てきたこの太陽。
そうだ、私は大切なことを忘れかけていた。だれも傷つけることなく、分かち合い、愛し合い、尊重しあう世界を作れると、本気で信じた誰かがはじめたレインボーギャザリング。ここはその理想を実践するための実験場そのものだということを。頭ごなしに人を非難するのは簡単だ。危なそうな人を片っ端から排除することだってできる。しかし、それは虹の家族のやり方ではない。ギャザリングが機能しているのは、各人が責任を持って、なされるべきことをするからなのだ。それは義務ではないけれど、本当の家族がそうであるように、注意されるべきことは注意されなければならない。お互いのために。自由だといってもルールはある。組織や国家のルールは、支配者のエゴである場合もあるが、レインボーギャザリングのルールは、先人たちが虹の家族のために試行錯誤を重ねて確立した知恵の集大成だ。本当の自由は、何者かから与えられるものではない。各人が義務をはたして共同で築き上げるものなんだから。
なにも与えず、欲しがるだけの人とは、私自身のことだったのか・・・。私にはなにができるんだろう?
人は違ってあたりまえ。七色の虹のように、ひとりひとりがそれぞれの色を最大限に輝かせればいい。自分が自分らしくありたがるように、他者にもそれを認めよう。違いを正そうとするのではなく、違いは違いとして理解し尊重することから、真に自由で平和な世界は始まるんじゃないか。私にできることは、叱咤したり、非難するのではなく、太陽のようにオープンハートで見守ることなんじゃないか。愛とおもいやりがあれば、できる、できるんだ。
また雨が降りはじめ、ぬかるんだメイン広場では、泥まみれになった裸の老若男女、黒人、白人、アジア人、ネイティブアメリカンが、狂乱のドラム隊と入り乱れ、みな、踊り狂っていた。私の手にはいつのまにか、みずみずしいスイカが一切れあった。誰かが配っていたのだ、この最高に自由で泥まみれで原始的アナーキーな群集の中で。今は、難しいことを考えるときではない。歌い踊るときなんだ!
クリーンアップ
翌日から人はぼちぼち減りはじめる。これから数週間は会場の後片付け。ボランティアの手により、ギャザリングのあらゆる痕跡を消しさる作業。第一ステップはゴミ拾い。タバコのフィルター一本まで見逃さない。そして第二ステップは森のリハビリ。踏み荒らされた道やキャンプ跡を、木の枝や腐葉土で覆う。蒔いた種に栄養を与え、ハイカーや野生動物が幼い植物を荒らすのを妨げるためだ。
1万人もの人が集まれば、どんなに気を配っても環境へのダメージは免れない。森が元の状態に回復するまでには数ヶ月、いや1年はかかるだろう。植生が安定するまでには時間がかかる。しかし意外なことに、後日読んだ新聞記事によると、サンタフェ国有林で働く考古学者は、「これだけ多くの人が来たにもかかわらず、森にこれといった大きなダメージが残っていなかった」と言って驚いていたそうだ。環境への悪影響は予想していたよりずっと少なかった、と。ギャザリングのボランティアは、事前にフォレストサービスと協力して打ち合わせをし、歴史的な跡地や絶滅の危機にある動植物にダメージを与えないように注意を払い、キッチンやキャンプの位置を決めたそうだ。サンタフェ国有林はかつて、アメリカ先住民が鹿の狩猟をしながら居住していた土地だった。
「この土地はすばやく回復するだろう」と考古学者は言っている。
*
会場では、RAP107と呼ばれるチラシをもらうことができる。これには、ギャザリングの楽しみ方や注意事項がかんたんに書かれているのだが、その中の一文が目にとまった。
Enjoy the Rainbow with an open heart and you Will see the Vision.
(レインボーはオープンハートで楽しもう。そうすればきっと、君にビジョンが訪れるよ)
もしあなたもレインボーギャザリングに参加する機会があったら、キャンプ道具と丈夫な食器とオープンハートと思いやりを忘れずに持っていこう!



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